超高齢社会の「つながり」を支えるICTの力

超高齢社会の社会的リスクに「孤独化」とか「認知化」があげられます。フレイルとかMCIという言葉を聞くようになりました。

フレイルとは、健常な状態と要介護状態の中間の状態として、日本老年医学会は提唱している言葉で虚弱と訳されます。多くの方は健常な状態から、フレイルの時期を経て要介護状態に至ります。フレイルの状態の方は、健常の人に比べて、要介護状態に至る危険性が高いだけではなく、生命予後が悪く、入院のリスクが高く、転倒する可能性も高いと言われています。

一方MCIとは軽度認知症のことです。 高齢者の3分の1がMCIないし認知症です。あるアンケート調査で、認知症はいちばんなりたくない病気に挙がっていました。

MCIフレイルに含まれます。フレイルは幅の広い多面的な概念です。

年齢別認知症

認知症

 

 

虚弱(フレイル)や軽度認知症状態MCIになりますとどうしてもそれまでの社会とのつながりが薄れてれてしまい、生きる気力を失った結果、より重症化していく懸念があります。早期に手当しなければなりません。

なお、フレイルやMCIになりますと歩くスピードが(極端に)遅くなりますので、一つの目安になります。

少子高齢化に伴い単身世帯の割合が増えておりますが、(すでに単身世帯は全世帯の4分の1を占めております) こうした状況は一層フレイルやMCIへの懸念を増大させております。

(認知化への図式)

高齢化に伴体力・気力が低下する。→友達減る・外出の機会減る→人と話す機会が少なくなる→家族との距離が拡大していく→孤独・孤立化・社会参加が減る→情報も入りにくくなる→ フレイル・MCIへ→認知化への道

ICTの進展

一方ICTは進歩しています。技術の進歩は著しく、また便利なため高齢者にも普及してきています。インターネット利用も70歳以上で2人にひとりが利用するようになってきました。

H28

(出典)総務省「平成28年通信利用動向調査」

ご参考

インターネット利用端末の種類(全世代):インタ^ネット利用率(全体) 82.8%

パソコン 58.4%、スマートフォン 42.4%携帯電話 24.5%タブレット 12.4%

         出典:総務省「平成25年通信利用動向調査」

 

注)ICTとは

Information and Communication Technology(インフォメーション・アンド・ コミュニケーション・テクノロジー)の略で、日本ではすでに一般的となったITの概念を さらに一歩進め、IT=情報技術に通信コミュニケーションの重要性を加味した言葉です。

すなわち 情報・通信に関する技術の総称で従来 から使われている「IT(Information Technology)」に代わる言葉として使われています。 海外では、ITよりICTのほうが一般的です。かっては情報の記録・収集まで、現代では情報を発信する・みんなで共有するところまで進歩しています。

IT(情報技術)から、  ICT(情報通信技へ

「情報」の、@記録、A収集、B発信、C共有、が可能

@情報の記録 (HDD、USBメモリ、クラウド)

A情報の収集 (インターネット検索、図書館データベース)

B情報の発信 (ホームページ、ブログ)

C情報の共有 (Twitter、Facebook,LineなどのSNS)

 

しかし、まだ過半数の70歳以上の人がいわゆるデジタルデバイド*となって、インターネット時代と云われる世の中で孤立化しているのが現実です。

*インターネットやパ. ソコン等 の情報通信技術を利用できる者と利用できな. い者との間に生じる格差

高齢化に伴い体力は落ち、記憶力が衰えていきます。パソコンなどの情報技術を使いこなすのは高齢者にとって難しいと言われてきました。パソコンの使い方を教わってもすぐ忘れてしまう、パソコンが動かなくなったり、変な画像が出てきたとき対応できない、ウィルスが怖い、個人情報の流失が心配・・・・

しかし、超高齢社会となって高齢者を支える担い手が減少し、高齢者といって甘えていられなくなってきました。出来るだけ自立期間を長くしなければなりません。そのためにはバランスの良い食事をとり、ウォーキングなど運動を継続することがまず必要です。高齢化に伴う慢性的な低栄養、運動量低下、筋力低下、外出しなくなる、孤立化する悪循環を断ち切る必要があります。孤立化するのを防ぐ・社会とのコミュニケーションを保つ方法としてインターネットがあります。超高齢社会の担い手「ICT」が当ページのテーマです。

外出の機会が減少していく高齢期においても、社会との接点を保ち続け生きがい感を保ち続ける担い手としてパソコン/インターネットがあります。

以上まとめますと下記理由からICTに前向きに臨みたいものです。

  1. インターネット時代にあってパソコンやタブレットを知らないと情報に後れを取ってしまいます。高齢者になると情報格差が広がります。

  2. パソコンの使い方を教わる、覚えることが認知症予防につながります。
    インターネットを使えばゲームやいろいろ検索でき楽しみも増えます。

    高齢になるとどうしても記憶力が落ち、情報機器の使い方を忘れてしまい、なかなか使えないという問題があります。しかし、出来るだけ高齢者から何回も教わり使い方を覚えることが出来ます。若い人から教わると「さっき言ったじゃない」と何回も教えてもらえません。出来るだけ自分に合ったサポーターを見つけることです。パソコンメーカーも電話でいろいろ教えてくれます。情報機器を買うときはアフターサービスに定評のあるメーカーを選ぶことです。購入するとき店から良く教わることです。(私の使っているパソコンメーカーは無料でよく教えてくれます。以前使っていたメーカーは1年たつと有料になりました。有料でも解決すればよいのですが解決しないで1回2,000円とられたこともあり、今はそのパソコンは使っていません。)

    私は、会社リタイア後(65才頃)パソコンスクールに6か月通いました。基本的なメール、ワード、エクセルから高度なプログラミングまで一通りやりました。プログラミングなど言語を覚えるようなもので若い人にとてもついていけませんでした。今はすっかり忘れました。それでも写真の修整(レタッチ)やホームページの作成などは、現在でも盛んにやっております。高齢化とともに記憶力は落ちてきますが、パソコンに整理して入れておけば脳の記憶力を補うというか脳みその一部を構成するようなものでとても役に立っていると思います。毎日一回はパソコンを開き、体調管理の日記をつけています。

  3. ICT機器は進歩し、高齢者にも使いやすい機器が出てきました。例えばタブレットはキーボードがなく直接画面に触って操作できます。100歳を超えている聖路加病院の日野原先生もタブレット(I Pod)を使っているとのことです。3か月程度使い方を習ったようです。
    また、パソコン・タブレットの値段も以前から比べるとだいぶ安くなってきております。

  4. ICTへのニーズは核家族化、地域過疎化のなかにあって、ますます広がっています。買物、見守り、医療、コミュニケーションと情報機器は有用です。外出できなくてもある程度それに代ります。シニアライフに直結したアプリも数多く提供されてきました。

    過疎化の地域では店やスーパーもなくなってきていますが、パソコンやスマホ・タブレットで注文し、配達してもらえます。

    見守りや医療の分野では最近著しく進歩しています。独居老人の家にセンサーを置いておけば簡単な症状の判断や見守りを医者や親族のものがパソコンを使ってすることが出来るそうです。そのとき独居老人がパソコンやタブレットを使えればもっと詳しくデータをやりとりして相談できます。

  5. 更なる認知機能の低下に対してどう情報技術を役立てていくかは現代社会の大きな課題の一つです。遅れている分野だと思います。

    フレイルやMCIになってもタブレットやパソコンを使ってQOLをあまり「落とさないで生活をしている例があるという報告があります。 認知症になると漢字が自分の名前程度しか書けなくなるようです。しかしパソコンがあればひらがなで入力して漢字に変換することが出来ます。認知症の方でパソコンを使っている事例があるそうです。

    フレイルやMCIになったら、要介護や認知症にならないよう努力する必要があります。努力すれば改善します。運動や食生活に気をつけると同時に社会参加を積極的にする必要があります。ICTはその社会的参加そのものあるいは社会的参加を補足するものです。フレイルやMCIの段階ならまだ改善するまたは発症を遅らせることが出来るとお医者さんは言っています。

  6. 行政もインターネット網の整備など力を入れています。災害時に力を発揮します。震災のとき、いろいろな連絡手段が絶たれたときに多くの人がツウィッターで情報のやり取りをしたことも記憶に新しいところです。
    ICTは社会のつながり、ソウシャル・サポート・ネットワークの担い手になります。

    シニアにとって情報機器を使いこなすのは簡単ではありませんが、一部の機能だけ、例えば毎日パソコンを開けてヤフーのニュースを見るだけでもいいと思います。高齢者のインターネット利用率は上方傾向にあります。乗り遅れないようにしましょう。

                                                                               

 

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