江戸時代の健康指南書「養生訓」 貝原益軒 

儒者、博物学者


『養生訓』は、貝原益軒が83歳の時に書き上げ、出版されました。中国の養生法をベースに、自ら経験してよいと思ったことを書き加えたことと、和文で庶民にも読みやすく書かれた、最初の養生書であったことから、江戸時代最も広く読まれた健康指南書でした。

江戸時代の平均寿命は40から50歳ぐらい、そのとき85歳まで長生きした貝原益軒は現在の百寿者に値します。また、300年以上も前の書物ですが現代医学に通じる考え方が多数提示されています。現代より医療事情が悪かった江戸時代で亡くなる直前まで健康を保っていました。自ら実践したわけです。具体的にどのようなことが書かれていたのか平易な解説書から特記的な事項を以下ピックアップしてみました。


「養生訓」の養生思想のの主なものは、気の考え方を重視し、自分の体は自分で養生し、病気にならないよう予防し、心身の健康を保つ責任は自分自身にあるということです。

また、名言「老人は一日をもって十日として楽しむべし」を残しています。そして「人生の楽しみ方」として三楽を説いています。「人として正しい道を歩き、善を楽しむ」、「病なく快く楽しむ」、「長命で人生を長く楽しむ」です。

まずやるべきことは、体に危害を及ぼすものは取り除くことだ。内欲(対内から湧き上がる欲望:飲食欲、性欲、睡眠欲)・外邪(体外から体内へと忍び込む病邪)だ。 内欲・外邪を心得て。


・「寝すぎ」、「座りすぎ」は良くない

・外食は簡素にし、旬のものを食べよ

・無病の時こそ病のことを思え

・急がずに自然にまかす

・居住環境に注意 適度な明るさの部屋で過ごす 

・医者を選んで任せよう

・薬よりも食事が大事

・病気は早目の治療が大切

・長寿の薬はなし

・良薬を選ぶ

・養生することは予防すること

・ 怒りや心配事を減らして心穏やかに保つ

・食事は食べ過ぎない

・夜更かしはしない

・身の回りを清潔に保つ

・ 食事は温かいうちに

・食事は薄味にし、濃い味のものや脂っこいはたべすぎない

・酒は少しにし呑み過ぎない

・煙草は毒であり、習慣化すれば止めにくくなる。

高齢者の過ごし方

・心を鎮めて日々を楽しみ、怒ることと欲を制すること

・無理をしないようにする


江戸時代は階級社会でしたが、人々は「養生訓」を読んで、自制・不老長寿を目指したのでしょう。現代の生活習慣病の予防や治療で大切とされることが全て網羅されていると感じます。養生訓はベストセラーだったそうです。

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